ひと粒の胡麻

■ひと粒の胡麻■


幕の内弁当のごはんに黒ごま。香ばしさとともに、料理の味を引き締めてくれるようで好きです。
ほかにも、目玉焼の仕上げにササッとごま塩をふりかけて蓋をし、1、2分蒸し焼きにするわが家流目玉焼。いつもの目玉焼がいちだんと豊かな味になるから不思議。
西洋料理では、パンやクッキーに使う程度のごまも、日本や中国では、その香りの高さと味の良さから、さまざまな料理に使われています。
ごまだれ、ごま酢、ごまみそ、ごまあえをはじめ、そのほとんどは料理の引き立て役として登場しますが、それでもやはり、代表的な料理といえば、ごま豆腐ではないでしょうか。
ごま豆腐の日本での歴史は三百年ほど。黄檗宗に伝わる中国の精進料理「普茶料理」の一品として、行事のとき茶のあとに供せられたものだといいます。
「普茶料理」は、油類やくず粉を使うのが特徴で、ごま豆腐も例に違わず、油の多い白ごまをすって、くず粉と練り合わせて豆腐のようにしたのもです。じっくりとよく練るのがコツとか。冷たくして、みたらしあんや、わさびじょうゆで。ツルンとした舌ざわりがいいですね。
ごまの原産地は、アフリカのサバンナ地方。日本には中国を経て渡来したと伝えられ、奈良時代には、ごま餅やごま油として用いられていたといいます。
しかし、ごまも、他の多くの農産物と同じように需要のほとんどを輸入に頼っているのですが、生産量の少ない国内産のごまの品質が良いのも皮肉な話です。
ごまは、種皮の色で「黒ごま」「白ごま」「茶ごま」などに分けられます。
黒ごまは、香りが高いので料理用として用いられることが多く、白ごまは、そのほとんどがごま油の原料に。
ひとくちに「ごま」といっても、市場に出回っているものには、その加工の状態によって、生ごま、洗いごま、いりごま、すりごま、ごまペースト、むきごま、切りごま、ごま塩などさまざま。
ごまの主成分は脂肪。リノール酸やオレイン酸を含んでいます。
そのほか、ビタミンE、レシチン、カルシウム、リン、鉄などの含有量も多く100グラム当たりのカルシウム含有量は、全食品の中でも、かなり高い位置にあります。
小粒でも価値の高いごま。
「ゴマをする」などと、あまりありがたくない言葉がありますが、ごまがするうちに、すり鉢のあちこちにくっつくところから、人にへつらったり媚びたりすることを言うようになったとか。
ごまのシャキッとした香ばしさには、とても不似合な言葉ですよね。
●黄檗宗(おうばくしゅう)…日本の禅宗のひとつで、承応三年(一六五四)来日した明の黄檗山万福寺の僧、隠元が臨済宗のひとつとして伝えたという。
寛文元年(一六六一)建立の宇治の万福寺を大本山とし、中国風で禅と念仏の結び付きが顕著なのが特色とか。

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