ひと粒の豆

■ひと粒の豆■


大豆、小豆、空豆、えんどう、いんげん…ちょっと考えてみても、私たちは日頃けっこう豆を食べています。
豆腐や油あげ、味噌、納豆や豆乳、黒あん、白あんなどの豆製品も入れたら、食べない日はないと言ってもいいくらいですね。
世界中では、食糧になるならないは別にして、マメ科の植物が約六百属一万二千種もあるそうです。私たちが食べている豆のほとんどは、そのうちのソラマメ亜科に属しているのだそうです。
一年を通してみても、豆は昔から、暮らしのなかで大切な役割をはたしています。
おせち料理の黒豆。なかなか炊き方が難しく、色よく仕上げるのは大変です。でも、その割には最後まで重箱の隅に残ってしまうもののひとつで、我が家では『一年間マメで息災に暮らせるように食べておきなさいよ』が、母のお正月の決まり文句です。
今では、おせち料理もずいぶん豪華になって、煮しめだけでは家族も納得しない、というのが本音です。
江戸時代には、幕府がお正月の祝肴の中でも、特に『三肴(みつざかな)』―黒豆・かずのこ・ごまめ―を農民に奨励したといいます。
かずのこのように子だくさんで、黒豆のようにマメでよく働き、ごまめ(五万米)のように米を五万と収穫できるように、という意味なのだそうです。
それにしても、伝統的なおせちを形式や古臭いものと考えずに、じっくり見直してみると栄養面でも優れているのですが、多くの食品に埋もれて暮らしていると、地味なものに映るのも無理のないことなのかも知れません。
大豆が『畑の肉』といわれるほどの良質のたんぱく質を含んでいることは、よくご存知だと思います。味噌は昔から庶民のたんぱく質の補給源として欠かせないものでしたし、豆腐はまさに肉のかわりにさまざまな料理に利用されています。小豆もたんぱく質や鉄分、ビタミンB1が豊富です。和菓子にはもちろん、ぜんざいをお雑煮としている地方も多く、また小豆は、かぼちゃやサツマイモなどと炊きあわせるとそれぞれの甘みをいちだんと引き出してくれます。
大豆の大活躍を除いては、豆は花形とはいえない存在ですが、私たちの食生活の中で小粒でも大切な食品であることに間違いはなさそうです。
外国産に頼んでいるのでは悲しいですね。

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